唇のできものはニキビ?できものの種類・原因・対処法を詳しく解説
唇にぶつぶつや水ぶくれなどのできものができると気になりますよね。食べたり話したりするときに気になったり、痛みを感じたりすることもあるでしょう。
では、唇のできものの原因はなんなのでしょうか。身近なものではニキビの可能性がありますが、感染性の病気や、がんなどの重大な病気であることも考えられます。
そこでこの記事では、唇のできものの原因や対処法について詳しく解説します。
唇のできもので考えられる病気・症状
唇のできもので考えられるものとしては、湿疹、ニキビ、イボなどが挙げられます。その他に、性感染症やがんなどの重大な病気も考えられるため、詳しく見ていきましょう。
湿疹
唇にできる湿疹の主な原因は、食物や金属などによるアレルギー性皮膚炎と化粧品のかぶれなどが考えられます。
アレルギー性皮膚炎とは、アレルギーの原因となる物質に触れることで起こる皮膚の炎症反応です。原因となる食物には、柑橘類やマンゴー、セロリーなどが、金属には、ニッケルやコバルト、金などがあります。ほかにもお薬、歯磨きペーストなども原因になることがあるため注意が必要です。
アレルギー性皮膚炎の場合は、原因となる物質を生活空間から排除したり、口にしないようにしたりする必要があります。誤って触れてしまったときは、触れた部分を石けんで洗い流すようにしましょう。
ニキビ
唇周辺にニキビができた場合、ニキビの可能性もあるでしょう。ニキビの根本的な原因は、毛穴に皮脂が詰まり、アクネ菌が増殖するというものです。唇周辺は皮膚が薄くて乾燥しやすいため、乾燥を補うために皮脂分泌が過剰になることがあり、それによってニキビができることがあります。
放っておいても自然と治ることが多いですが、ひどくなると跡が残ってしまうこともあるため、しっかり治したい場合は皮膚科の受診を検討しましょう。皮膚科では塗り薬などによって治療が行われることが一般的です。
また、スキンケアを見直すのも一つの方法。肌のキメを整えるビタミンAなどが配合されたものなどがおすすめです。
疣贅(ゆうぜい・イボ)
疣贅とは、ヒトパピローマウイルスに感染することでできるウイルス性のイボです。唇などの顔にできる疣贅は「糸状疣贅」と呼ばれているものが多く、先端が白っぽく、細長い形をしているのが特徴です。通常は、痛みや熱っぽさなどの自覚症状はありません。
ヒトパピローマウイルスはヒトからヒトに直接感染します。正常な皮膚や粘膜には通常感染しにくいと考えられていますが、皮膚の小さな傷からウイルスが侵入したり、「性行為」でうつることもあります。
疣贅の場合、治療せずに放置していると、ほかの場所にもイボができたり、他人に感染させたりするといったリスクが生じます。
疣贅の治療では、液体窒素でイボを凍らせて壊死させる「冷凍凝固療法」や電流やをあてて除去する「電気焼灼法」といった治療法があります。
じんましん
一般的なじんましんは、虫刺されのように皮膚が赤く腫れてかゆみを伴い、数時間から1日以内におさまります。
じんましんの原因には、食物などのアレルギー反応や寝不足、ストレスなどがあげられていますが、多くの場合は原因不明です。
通常は時間とともに治りますが、症状が改善しない、繰り返すといったときは皮膚科の受診を検討してください。治療法としては、アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン剤の服用が一般的です。
血管性浮腫
血管性浮腫は、皮膚や粘膜の一部が急に腫れるもので、唇にできることが多いです。血管の外に血液中の水分が染み出しやすくなり、血管外で水分が溜まることで腫れが生じるとされています。
原因はじんましんと同様のケースもあれば、ブラジキニンという、体内で痛みなどの原因となる物質が関わっているケースもあります。
じんましんを伴わない場合はかゆみはなく、数時間から数日で自然とおさまることが一般的です。
ただ、遺伝によって生じる「遺伝性血管性浮腫」の場合は難病であり、注射薬などを使った治療が必要となります。そのため、長期にわたって症状が続く、再発を繰り返すといったときは、皮膚科を受診してください。
フォアダイス
フォアダイスとは、本来、毛包に付属する脂腺が直接皮膚に開口する独立脂腺という皮脂腺が、唇や陰部にできて集まった状態のことです。痛みなどはなく、他者に感染させることもないため、基本的に治療の必要はありません。
ただ、見た目が気になる場合は、レーザーなどで治療することも可能です。
口角炎
口角炎は、口角に炎症が生じて赤く腫れ、皮がむけたり、かさぶたになったりするものです。唇の乾燥や、深い亀裂ができるといった症状を伴うこともあります。また、口を開けると痛みを感じることが多いです。
口角炎の主な原因には以下のようなものが考えられます。
・免疫力の低下(ストレス、カンジダ感染)
・栄養不足(ビタミンB群、鉄分、ミネラル不足)
・病気(糖尿病、肝疾患、HIV感染症)
・薬剤(ステロイド、免疫抑制剤)
症状が軽い場合はワセリンなどで保湿するだけでも症状が改善することが多いですが、炎症が強い、症状が改善しないといった場合は保湿剤やステロイド外用剤などによる治療が必要となるため、早めに皮膚科の受診を検討してください。
カンジダ性口角炎
口角炎の中でも、カンジダという真菌(カビの一種)が原因で生じる口角炎を「カンジダ性口角炎」と言います。口角に白い苔状のものが現れるのが特徴です。
カンジダは普段から皮膚に存在する常在菌ですが、免疫力が下がるなどのきっかけで口角炎を発症することがあります。
生活習慣を見直し、免疫力を高めることで自然と治ることもありますが、しばらく経っても改善が見られない場合は医療機関で治療を受けたほうがよいでしょう。病院では抗真菌薬の塗り薬が処方されることが一般的です。
口唇炎
口唇炎は、唇に炎症が生じ、乾燥、皮むけ、腫れ、亀裂などが生じるものです。かゆみを伴うこともあります。
唇まわりの炎症ということで、口角炎と似ていると思うかもしれませんが、口角炎との違いは、口角にできるか、唇全体にできるかどうかです。ただ、口角炎と口唇炎を併発することもあります。
口唇炎の主な原因として考えられるのは、化粧品や洗剤、金属アレルギー、ヘルペスウイルスの感染です。金属アレルギーについては、歯科治療に使われる仮の詰め物も原因になることがあります。
口角炎と同様に、ワセリンで治ることもありますが、症状が改善しない場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
口唇ヘルペス
唇や唇周辺に赤い小さな水ぶくれができた場合は、口唇ヘルペスの可能性があります。痛みを伴うことも多いです。
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスが原因。接触感染するので、かつては子供の頃に感染している方が多かったですが、衛生状態の改善などによって、最近は大人になってから初めて感染する方が増えています。性器ヘルペスを発症している人とのオーラルセックスによって、唇周辺に感染することもあります。
なお、子どものときに感染すると無症状のことが多いですが、大人になってから感染すると、重症化するリスクが高いとされています。また、大人、子供関係なく、一度感染するとウイルスは体内にずっと潜伏し、免疫力が低下するなどのきっかけで再発して口唇ヘルペスなどの症状が出ます。
発症するときは、まずかゆみや、ぴりぴりとした違和感を感じる方も少なくなりません。その後、赤くはれて水ぶくれになり、かさぶたになって自然と治まっていきます。だいたい1~2週間で症状が出なくなることが多いですが、ウイルスが消えるわけではないので再発することがあります。
治療は抗ウイルス薬の塗り薬や飲み薬によって行います。ただし、抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑え、症状を抑えるお薬なので、ウイルスを完全になくすことはできません。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌が原因となる性感染症です。感染者とのオーラルセックスによって唇周辺に感染することがあります。
感染から数週間すると感染した場所にできものやただれ、しこりなどが生じますが、治療をしなくてもしばらくすると症状がなくなります。ただ、梅毒が治ったわけではありません。
そして、数ヶ月すると全身に発疹が現れ、これもしばらくすると症状が消えますが、体内では感染が広がり、徐々に病状が悪化していきます。場合によっては、数年~数十年かけて内臓や神経が侵され、死に至ることもあります。現在は、昔に比べて梅毒で死に至るケースは減っていますが、それでも早期の治療が必要なことに変わりありません。
治療では、数週間から数ヶ月にわたって抗菌薬を服用します。早期に治療を始めるほど、治療期間が短く済む傾向があります。
粘液嚢胞
粘液嚢胞とは、なんらかの原因で唾液腺がふさがって唾液が溜まり、袋状に膨らんだものです。下唇の裏側や舌の裏側にできることが多く、大きさは2〜5mmほどで、大きいものは1cmほどになります。
粘液嚢胞は通常、痛みはなく、自然に消えることもありますが、再発しやすいため注意しましょう。
粘液嚢胞の主な原因は、唇や頬の粘膜などを食事中に誤って噛むなどして、唾液腺の管を傷つけてしまうことです。
放置しても問題ありませんが、再発しやすいため、通常は手術で摘出します。粘液嚢胞が疑われる場合は、早めに歯科の受診を検討しましょう。
口唇がん
口唇がんは、唇の表面の細胞から発生するがんです。口唇がんの初期症状は、唇のしこりや潰瘍で、最初のうちは痛みはありませんが、進行すると徐々に痛みや出血が見られる場合があります。さらに、唇の色が変わる、硬くなる、腫れるなどの症状も見られます。
また、口唇がんのリスク要因としては、以下のようなものが挙げられます。
・過度のアルコール摂取
・喫煙
・ヒトパピローマウイルス
・紫外線
・唇への慢性的な刺激や炎症
一般的な口唇がんの治療としては、手術、放射線療法、化学療法の3種類があります。唇にできたできものがいつまでも治らない、痛みがあるといった場合は、念のため歯科の受診を検討しましょう。
唇にできものができたときの対処法
唇にできものができた場合、その原因にはさまざまなものが考えられます。病気によっても異なりますが、以下のような対処をするとよいでしょう。
まずは医療機関を受診する
自分ではできものの正体が正確にわからないので、自己判断せず医療機関を受診するのが大事です。唇は見た目にも影響する部分なので、医療機関で適切な治療を受けることで、早くきれいに治る可能性が高まります。
特に、痛みが強い、出血がある、できものがどんどん大きくなっているといったときは受診したほうがよいでしょう。
性感染症の場合はパートナーと同時に治療を受ける
性感染症だと判明したら、パートナーにも受診してもらうことが大事です。もしパートナーも感染していた場合は、同時に治療を受けてもらいましょう。
なぜなら、一人が治療しても、パートナーが無治療だと、また感染させ合ってしまうためです。
セルフケアができるケースもある
唇のできものは、セルフケアができるものもあります。ニキビの可能性が高い場合は、スキンケアや生活習慣を見直すなどしてケアしましょう。
また、口唇ヘルペスは再発することも多いです。何度も再発を繰り返しているような場合は、市販薬でケアしてもよいでしょう。市販薬は、過去に口唇ヘルペスと診断されたことがあり、前兆(ピリピリ感)がある方にとって有用です。前兆が現れた時点で治療を始めると、治りも早くなるとされています。
唇に刺激を与えない
症状があるときは、悪化を防ぐためにも、唇に刺激を与えないように気をつけましょう。唇は皮膚が薄いので、ちょっとした刺激で荒れやすいです。日ごろから日焼け、乾燥などに注意してください。リップクリームをこまめに塗るなどして保湿・保護するのがおすすめです。
また、唇をなめるくせがある方も注意が必要。かえって乾燥したり、唇に傷があるときは雑菌などが入る恐れがあります。
他者に感染させないように注意する
口唇ヘルペスや梅毒は他者に感染させる恐れがあります。口唇ヘルペスは水ぶくれの中にウイルスが存在するため、水ぶくれをつぶさないようにしましょう。患部に触れたら手を洗い、食器、タオルを洗わないまま共有しないでください。
また、梅毒は性的接触によって感染する病気です。オーラルセックスやキスでも感染するので、完治するまでそのような行為は控えましょう。
生活習慣を見直す
口唇炎、口角炎、口唇ヘルペスなど、免疫力が低下していることで発症するものは多いです。免疫力が低下していると、感染・発症しやすく、症状も悪化しやすいため、栄養と休息を十分にとりましょう。
日ごろから規則正しい生活を心がけ、ストレスをためないことなどを意識し、予防にも努めることが大事です。
唇にできものができたらどの診療科に行けばよい?
唇のできものが気になって受診する場合は、皮膚科か歯科や口腔外科が選択肢となります。たとえば、湿疹やニキビ、じんましんなどの皮膚の病気は皮膚科へ。粘膜嚢胞など口の中にも症状がでる場合がある病気や口腔がんの一種である口唇がんなどは、歯科または口腔外科を受診します。
梅毒などの性感染症の恐れがある場合は、皮膚科のほか、性感染症内科や性感染症専門のクリニックへの受診をする選択肢もあります。
唇にできものができたときの検査方法
唇にできものがある場合は、問診、視診によって診断されることが多いです。ただ、口唇炎の疑いがある場合は、血液検査や組織検査を行うこともあります。
また、口唇ヘルペスの場合は、血液や患部の浸出液にウイルスが含まれているか調べたり、血液検査で抗体の有無を調べたりすることが一般的です。梅毒の場合は血液検査(抗体検査)が必要となります。
唇のできものが気になるときはクリニックフォアへ
唇や周辺のできものでよくあるのはニキビでしょう。ニキビの場合は生活習慣を見直すとともに、スキンケアにも気を遣うことが大事です。提携先オンラインショップ「クリニックフォアビューティー」では、ニキビの予防に期待できるドクターズコスメを多数取り扱っています。
また、ニキビや性感染症のオンライン診療も行っているため、気になる症状がある場合は受診をご検討ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。※自由診療
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
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