トラネキサム酸とは?効果・副作用から正しい使い方まで徹底解説
シミやくすみが気になりはじめた際、美白成分として「トラネキサム酸」の名前を目にしたことはないでしょうか。内服薬から美白化粧品まで幅広く使われているトラネキサム酸は、シミの原因となるメラニン合成を抑制する働きや抗炎症作用が認められており、厚生労働省から美白有効成分としても承認されています。[1]
この記事では、トラネキサム酸の特徴や期待できる効果、副作用、正しい使い方までわかりやすく解説します。スキンケアや美白ケアの選択肢を増やしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
トラネキサム酸とは

トラネキサム酸は、アミノ酸の一種であるリシンをもとに合成された成分です。
出血を抑えたり、炎症を鎮めたりする働きがあるため、主に止血や、のどの腫れの改善などの目的で使用されています。
また美容分野においては、シミや肝斑の原因となる「メラニン」の合成を抑える作用もあり、美白有効成分として厚生労働省に認められている成分です。
トラネキサム酸に期待できる美容効果

トラネキサム酸の働きを把握しておくと、自分の肌悩みに合ったケア方法を選びやすくなります。トラネキサム酸に期待できる美容効果は、主に以下の2つです。
- メラニンの合成を抑える
- 肌の炎症を抑える
それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。
メラニンの合成を抑える
トラネキサム酸は、メラニンの合成を抑え、シミやそばかす、肝斑に対して有効性が認められている成分です。
シミの原因となるメラニンは、肌の奥にある「メラノサイト」という細胞で作られます。肌が紫外線や摩擦などの刺激を受けると、肌の中で「プラスミン」という物質がメラノサイトを刺激し、メラニン合成が促されます。
トラネキサム酸は、メラニン合成を促すプラスミンの働きをブロックするため、メラニンの過剰な合成が抑えられ、シミの予防につながるという仕組みです。
また、頬骨付近に左右対称に出やすい肝斑の治療では、レーザー治療よりもトラネキサム酸が第一選択として推奨されています。
肌の炎症を抑える
トラネキサム酸には、肌の炎症や赤みを引き起こす反応を抑える作用もあります。
肌の炎症が起こる過程にも、「プラスミン」という酵素が関わっています。プラスミンは、炎症に関わるサイトカインや炎症性物質の産生を促進すると考えられています。
トラネキサム酸は、このプラスミンの働きを抑えることで、炎症反応を穏やかにし、赤みや肌荒れなどを改善する効果が期待されています。
トラネキサム酸を取り入れる方法

トラネキサム酸は取り入れ方によって体への働きかけ方が異なるため、目的に合った方法を選ぶことが大切です。トラネキサム酸を取り入れる方法は、主に以下の2つです。
- 直接肌に塗る
- 内服薬で摂取する
それぞれの特徴について詳しく解説します。
直接肌に塗る
トラネキサム酸は、シミ予防や肌荒れ防止の有用成分として、化粧水や美容液などのスキンケア製品にも広く配合されており、直接肌に塗って取り入れられます。
毎日のスキンケアの中で継続的に使用することで、メラニン合成の抑制や炎症ケアへの働きかけが期待できるでしょう。
セルフケアでは物足りないと感じる場合は、美容皮膚科での施術も選択肢のひとつです。たとえばトラネキサム酸のイオン導入では、肌に微弱な電流を流すことで、通常のスキンケアよりもトラネキサム酸を皮膚の深部まで浸透させられます。
内服薬で摂取する
トラネキサム酸の内服薬には、医療機関で処方される処方薬(医療用医薬品)と、薬局で購入できる市販薬(一般用医薬品)があります。
医療用医薬品のトラネキサム酸には250mg錠と500mg錠があり、成人の場合は1日あたり750〜2,000mgを複数回に分けて服用するのが一般的です。
一方、市販薬に含まれるトラネキサム酸の量は、医療用医薬品より少なく設定されています。
トラネキサム酸の主な副作用

トラネキサム酸は比較的安全性の高い成分ですが、副作用が現れる場合もあります。ここでは、トラネキサム酸を使用する際の注意点について見ていきましょう。
スキンケアとして使用する場合
トラネキサム酸は肌への刺激が少なく、化粧品として肌に塗る場合、深刻な副作用が生じることはほとんどありません。ただし、ごくまれに使用部位に赤みやかゆみなどの肌荒れが生じることがあります。
新しくスキンケアに取り入れる際は少量から試し、肌の変化をこまめに確認しましょう。万が一異変を感じた場合はすぐに使用を中止し、数日経っても症状が改善しない場合は医療機関を受診してください。
経口摂取の場合
トラネキサム酸を経口摂取する場合、まれに胃のむかつきや食欲の低下といった消化器系の不調が生じることがあります。
また、トラネキサム酸には出血を抑える働きがあるため、「血栓症」に注意する必要があります。そのため、もともと血液が固まりやすい体質の方や、脳梗塞・心筋梗塞などの既往歴がある方は注意が必要です。
健康な方が決められた用量を守って服用する分には、血栓症のリスクが大幅に上昇するわけではないため、過度な心配は必要ないでしょう。
加えて、ピルを服用中の方も、トラネキサム酸との併用で血栓症のリスクを高める可能性があるため注意しましょう。ピルの中でも、血栓症のリスクがほとんどない「ミニピル」であれば、トラネキサム酸との併用が可能です。
消化器系の不調が続く場合や、血栓症への不安・既往歴がある場合は、必ず服用前に医師や薬剤師へ相談してください。
トラネキサム酸配合化粧品の正しい使い方

トラネキサム酸配合化粧品は、使用する順番やタイミングを正しく把握することで、成分をより効果的に取り入れられます。以下では、正しい使い方のポイントについて詳しく解説します。
スキンケアで使用する順番
トラネキサム酸配合化粧品は、洗顔料・化粧水・美容液・乳液・クリームなど、さまざまなスキンケアアイテムに配合されています。どのアイテムを取り入れるかによって順番は異なりますが、一般的なスキンケアの基本は以下のとおりです。
- 洗顔
- 化粧水
- 美容液
- 乳液
- クリーム
テクスチャーが軽いものから順に塗り、最後に油分を含む乳液やクリームでフタをして、成分を肌にとどめましょう。ご自身が使用するトラネキサム酸配合化粧品のタイプに合わせて、適切なタイミングで取り入れてください。
使用するタイミング
トラネキサム酸は朝と夜、両方のスキンケアで使用できます。紫外線により不安定になったり、効果が弱まったりする成分ではないため、時間帯を気にせず取り入れられるのが特徴です。
とくに朝の使用後は、必ず日焼け止めを塗るようにしましょう。トラネキサム酸にはメラニン合成を抑える働きがありますが、紫外線そのものをカットする効果はありません。
トラネキサム酸のシミ対策効果を十分に発揮させるためにも、日焼け止めや帽子、日傘などで紫外線を防ぎましょう。
効果が出るまでの目安
シミや肌荒れなどに効果のあるトラネキサム酸は、即効性のある成分ではありません。最低でも2〜3ヶ月ほどは毎日継続して使用するとよいでしょう。
肌のターンオーバーによって肌が少しずつ生まれ変わり、シミや肌荒れが目立ちにくい肌に近づく効果が期待できます。
新たなメラニンや炎症の発生をトラネキサム酸でくい止めながら、古いメラニンが自然に排出されるのを待つ必要があるため、数サイクル分の時間がかかります。
まとめ

トラネキサム酸は、アミノ酸の一種であるリシンをもとに合成された成分で、シミや炎症の引き金となる「プラスミン」の働きを阻害する作用があります。
医療現場では、止血や、炎症を抑える目的で使用され、美容分野では主にメラニン合成の抑制によるシミや肝斑の改善に活用されています。
美容目的で使用する場合、内服薬で取り入れる方法や、化粧品で肌に直接塗る方法が主流です。トラネキサム酸は即効性のある成分ではないため、肌のターンオーバーによって古いメラニンが排出されるのを待つためにも、2〜3ヶ月は継続して使用しましょう。
シミや繰り返す肌荒れにお悩みの方は、本記事を参考に、ぜひトラネキサム酸を活用してみてください。
参考文献
[1]厚生労働省:医薬部外品・化粧品による白斑等の副作用に関する対策について https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000051960.pdf